20年の時間を経てCrusaders

あちこちドッチース゜

ライブハウスなどで知り合った方と最初に話をするとき、

どういう音楽に影響を受けていますか?

という質問を受ける時があります。そんな時、いつも頭によぎるのがクルセイダーズです。

クルセイダーズのメンバーであるJoe Sampleが特に好きで、一時期はJoe Sampleがサポートしたアルバムを含めて買いあさっていました。

そんなCrusadersですが、2026年現在、オリジナルメンバーでご存命なのはドラムのStix Hooper一人となり、もうあの楽しくてたまらないライブは聴くことができないのです、寂しいことですね。

昨日、ヤンチャーズというライブ小屋でピナコテカのライブをした時に、さきほどの「誰に影響を受けたのか」の話になり、Crusadersという名前を久々に口にしました、そして帰宅後、懐かしくなって過去のblog記事を読み返しました。

 ちょうどこの記事を書いた頃、2004年、クルセイダーズのメンバーは60代半ば、私は40代半ばでした。そして、20数年の時が流れて、私は60代半ば(67歳になったばかり)になり、昔の自分が書いた記事を読んで、Joe Sampleが結成当初から語っていたという言葉が妙に心に刺さったのです。

「Crusadersの本質は、結成当時からなんら変わっていない。私達の心のおもむくままに、いつもストレートな気持ちをこめて演奏しているのだ。音楽は、何よりも素直な気持ちを伝えることであり、聴いてくれる人を楽しませなくちゃ」

以下の記事は2004年12月17日にアップしたものの再掲載です。


奇跡の長寿バンド クルセイダーズ

Crusadersをあまりご存知でない方のために、簡単な「歴史」をまとめてみました。歴史的事実の一部は、1984年のジョー・サンプル来日パンフレットから抜粋しています。

The Crusadersの始まりはとても古く、私の生まれる前、時は1952年、朝鮮戦争の真っ只中のテキサス州ヒューストンにまで遡る。ジョー・サンプル(13歳)が地元の同好の士とバンド活動を始めた頃のことだ。

バンドの名前は「スウィング・スターズ」。メンバーは、ドラムスがStix Hooper(14歳)、トロンボーンがWayne Henderson(13歳)、ベースとサックスがWilton Felder(12歳)。彼らは同じスミス・ハイスクールに進学し、jazz、bluesをベースにR&B、gospelなどあらゆる音楽を取り込みながら、少しずつ着実に音楽的に成長していった。

地元での名声が高まるにつれ、グループ名を「モダン・ジャズ・セクステット」「ナイトホークス」と変えていき、1950年代後半に活動の場をウェストコーストに移してからは「Jazz Crusaders」を名乗るようになった。

彼らの音楽理念は、結成当時から一貫している。ジョー・サンプルはこう語っていた。

「Crusadersの本質は、結成当時からなんら変わっていない。私達の心のおもむくままに、いつもストレートな気持ちをこめて演奏しているのだ。音楽は、何よりも素直な気持ちを伝えることであり、聴いてくれる人を楽しませなくちゃ」

この言葉は、半世紀たった今でも彼らの心の中に生き続けている。

60年代に入ると、西海岸を舞台にライブ、レコーディング、セッション、そして各自のセッションワークなど、幾重にも絡み合った活動を展開。60年代後半にはCrossover、Fusionの波が起こり、彼らも「Jazz」を外して「The Crusaders」を名乗るようになった。

70年代のFusion隆盛の一翼を担う素晴らしい作品を次々と世に送り出し、71年から76年にはLarry Carltonがギタリストとして在籍、まさに一世を風靡したFusionグループとなった。

そして1979年、Randy CrawfordをボーカルにむかえたStreet Lifeが大ヒット。70年代後半のアルバムはどれも素晴らしく、21世紀の今聴いても心躍る感動がある。

80年代に入っても毎年のように新作をリリースし続けたが、実は1975年にオリジナルメンバーのWayne Hendersonがプロデューサーに専念するためバンドを離れていた。Hendersonの脱退は音に大きな影響を与えなかったが、1986年にはドラムのStix Hooperまでもが脱退してしまう。Joe Sampleがソロでブレイクしていた時期でもあり、メンバー間に隙間風が吹いたのだろうか。これは大きな痛手だった。

88年にリリースされた「Life in the Modern World」は、Crusadersの抜け殻が鳴っているワーストアルバムだと私は思う。オリジナルメンバーが二人しか残らず、あの音楽理念も影が薄くなってしまったのだろう。世の中もバブルの始まりの頃で、皆が浮かれて大切なものをなくしていった時代。世の中に敏感な二人がこういうアルバムを作ったのも、ある意味「自然」なのかもしれない。Crusadersファンには、そういう意味でも一度は聴いてほしいアルバムでもある。

続く「Healing the Wounds」は、Marcus Millerをプロデューサーに迎え、まさに「傷を癒す」一枚だった。Crusadersのファンキーな情緒が復活したアルバムだったが、バンド内の傷は癒えなかったようで、これを最後にバラバラとなってしまう。

90年代は、Wayne HendersonとWilton Felder がJoe Sample抜きで「Jazz Crusaders」として何枚かのアルバムを残している。Louisiana Hot Sauceなど、気持ちの良いノリのアルバムで、彼らもきっと昔に戻りたかったのだろう。一方のJoe Sampleはソロ活動でClapton、Marcus MillerとのLegendsなど、マイペースで良い仕事を続けていた。

そして2002年、ついにThe Crusadersが復活した。Wayne Hendersonは不在だったが、70年代後半の絶頂期のメンバーであるStix Hooper、Wilton Felder、Joe SampleがReunionして戻ってきたのだ。リリースされた「Rural Renewal」は、少しおとなしくなってはいるものの、あのCrusadersがそこに存在する素晴らしいアルバムとなっている。

2003年10月、Crusadersが大阪に来た。Stix Hooperはいなかったものの、他のメンバーはサポートも含めてRural Renewalのレコーディングメンバー。ライブは本当に素晴らしかった。一貫した音楽理念は演奏自体にもMCにもしっかりと見てとれた。

この時、彼らはもう60代半ばだった。あと何年続けられるだろうか、またいつか来日してほしいと思いながら会場を後にした。歳をとっても「その時々の気分を大切に、心豊かにして音楽に浸りきる」というコンセプトを維持し続ける限り、きっとまた素晴らしい演奏を聴かせてくれるだろう。

結成が1952年、途中少しの空白はあるものの、すでに半世紀以上続いているバンドである。あのRolling Stonesでさえまだ40年だった時代に。

特にJoe SampleとWilton Felderはとても仲が良く、きっとお互いの奥さん以上にお互いを知り尽くした仲なんだろう。こんなにも長い間一緒に音楽ができるなんて、奇跡みたいな話で、本当にうらやましい。

それもこれも、何度でも言うが「理念」を共通して持っているからだと思う。その理念をバックボーンに彼らが繰り出すリズムとメロディが、私たちを感動させる。ミュージシャン冥利に尽きる人生を送っている人たちだ。

まだCrusadersを聴いたことがない方は、まずStreet Lifeから聴いてみてください。


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