クリエーターがファンとの距離を縮めるツール=NFT

あちこちドッチーズ

まず、NFTって何?をざっくり説明

「NFT(Non Fungible Token)」って言葉、聞いたことはあるけど正直よくわからない、という人も多いと思います。まずはそこから、ざっくりいきますね。

まず日本語では「非代替性(ひだいたいせい)トークン」と言います。呼び方はとりあえずスルーしてNFTとだけ覚えておいてください。

NFTを一言でいうと、「このデジタルコンテンツは、間違いなく本物です」と証明してくれる、絶対に偽造できないデジタルの証明書のことです。画像でも、動画でも、音声でも、対象はなんでも構いません。

「証明書」って言われても、デジタルデータにどうやってハンコを押すの?って思いますよね。その仕組みについては、あえて説明いたしません、今はまず、「NFT=デジタル版の本物証明書」というイメージだけ持っておいてください。

そういう仕組みが既にあるということが重要なんです。


アナログからデジタルへ、芸術作品の裾野が広がった歴史

絵を描く、詩を書く、音楽を奏でる。こうした創作活動は、もともと「紙」や「キャンバス」、「生の演奏」といった、アナログな形で残されてきました。

でもコンピューターやインターネットの技術が猛スピードで進化したことで、デジタルだけで作品を完結させることができるようになりました。画家はペンタブでイラストを描き、音楽家はDAWで曲を作り、そのままデータとして世に出す。裾野がぐっと広がったんですね。

ただし、ここで大きな壁にぶつかります。そのデジタル作品が「本物である」ということを、証明する手段がなかったんです。

もともと芸術作品に価値があるのは、それが唯一無二の「本物」だからです。本物だからこそ「これを所有したい」という欲求が生まれて、そこに値段がつく。ところがデジタルの世界では、コピーが際限なく出回ってしまう。どれだけ素晴らしい作品でも、「本物」と「コピー」の見分けがつかなければ、所有する意味が薄れてしまいます。

音楽・映像業界も手をこまねいていたわけじゃありません。CDやDVDにコピープロテクトをかける試みもありました。でも、音質・画質が落ちたり、対応していない機器があったりして、結局広くは普及しませんでした。

一方で登場したのが、サブスクという形です。月額を払えば、膨大な作品にいつでもアクセスできる。便利ですよね。でもサブスクが提供しているのは、あくまで「聴く権利」「観る権利」であって、「所有」ではありません。「推し」の作品を自分のものとして持っておきたい、という人としての根源的な欲求までは、サブスクでは満たせなかったんです。


そんな中でNFTが誕生した

2017〜18年ごろ、この課題に対する一つの答えとして、NFTという仕組みが今の形で広まり始めます。前身になるアイデア自体はもっと前からありましたが、実際にドット絵キャラクターなどのコレクションとして世の中に広く知られるようになったのが、このタイミングでした。

デジタルデータに、書き換え不可能な「唯一無二の証明書」を付けられる。しかも、転売されるたびに、作った本人に報酬(ロイヤリティ)が自動で入り続ける——そんな革命的な仕組みだったので、瞬く間にブームが起きました。ドット絵のキャラクターに、1体で数億円という値段がつくようなことも、実際に起きたんです。

ところが、そのブームはほんの数年で去ってしまい、今ではほとんど使われなくなってしまいました。


なぜNFTは定着しなかったのか

理由はいくつかあります。

  • データが消えるリスク
    「本物です」という証明書自体は消えなくても、その証明書が指し示す画像や音声データは、ブロックチェーンの外にあるストレージに保存されていることが多く、保存方法によってはリンク切れなどが起こるケースもありました。
  • 転売報酬の構造が崩れた
    「転売のたびに作者へ還元される」という仕組みも、途中からロイヤリティを必須としない取引所が増えたことで、当初期待されていたほどには機能しなくなってしまいました。
  • インフラのハードルが高すぎた
    ウォレットを作って、取引所に接続して……という一連の流れが、一般の人にとってはとにかく難しかった。
  • そして一番大きいのは、コンテンツ自体に魅力がなかったこと
    上記のような不安定さがある以上、本当に実力のあるクリエイターほど「わざわざNFTを使う理由がない」と判断して、離れていきました。

じゃあ、なぜ今あえてNFTの話をするのか

ブームは去りましたが、実は水面下で大事な部分は生き続けています。

「唯一無二のコンテンツを証明して、デジタルアートを売買する」という世界線そのものは、低い熱量ではありますが今も続いています。ウォレットも取引所も、ちゃんと動いていて、いつでも使える状態にあるんです。

そしてここ最近、クリエイターにとって大きな可能性を秘めた、新しい使い方が出てきました。今日、一番お伝えしたいのはここです。


NFTの新しい使い方——「本物の証明」から「権利の証明」へ

従来のNFTは、「このNFTが特定のコンテンツと結び付いた唯一のものである」ということを証明するための道具でした。結果として、「この作品のオリジナル版」として扱われる仕組みが生まれたわけです。

でも新しい使い方は違います。「権利」という目に見えないものを、デジタルデータに紐づけて販売するという発想です。

たとえば、会員証の画像にNFTを紐づけて売る。その会員証を持っている人だけが、何かしらの特典を受け取れる。何が受け取れるのかは、NFTの技術そのものとは関係なくて、クリエイターとファンとの間の「約束」でしかありません。ここだけ見ると、今どきのデジタル会員証とそう変わらないように思えます。

でも面白いのはここからです。この会員証を「転売可能」にしてしまうと、会員証そのものが独自の価値を持ち始めるんです。

例えば、まだ無名だったころのファンクラブ会員証を持っていたとして、そのアーティストが後にメジャーデビューしたら——その会員証自体に、後から市場価値がつくかもしれない。これは、今までのデジタル会員証にはなかった発想です。

会員証自体に価値があるかどうかはさておき、「これを持っていると、〇〇がもらえる」「〇〇ができる」という“権利”を画像に紐づけるというやり方には、無限の可能性があると思っています。

そしてもう一つ大事なのは、インフラのハードルの高さです。先ほど「一般の人には難しかった」という話をしましたが、ある程度「熱い」ファンであれば、その多少のハードルは普通に乗り越えてもらえるんです。逆に言うと、ファンがゼロの人がこの仕組みを使っても、あまり意味はないかもしれません。「濃いファンがいる」ことが、この使い方の前提条件になります。


実例:地下アイドル現場でのNFT活用

実はすでに、地下アイドルの現場でこうした使い方が広がっています。使われ方は「投機」というより、「ファンとの距離を縮める道具」としてです。

  • ライブ会場や提携店舗を巡ると限定NFTがもらえる「デジタルスタンプラリー」
  • NFTを持っている人だけが入れる優先入場や限定イベント
  • Discordコミュニティの「会員証」代わり

感覚としては、「限定チェキ」や「直筆サイン」に近いものです。コレクター魂をくすぐる仕掛けとして、相性がいいんですね。

ここでNFT本来の「作品そのものが本物である」という証明機能が、少し違う形に転用されていることに気づきます。証明の中身が、“本物であること”から“特典を受け取る資格があること”にすり替わっているんです。イメージとしては、リアルの世界の「会員証」や「VIPパス」に近い。会員証そのものは偽造されると困りますが、そこに書かれている特典の中身は、運営側が後から自由に更新できますよね。まさにそのデジタル版、というわけです。

ファンにとっては「推しとの特別なつながりの証」を持てる。アイドル側にとっては、新しい応援のされ方が生まれる。Win-Winの活用例だと思います。


今後、クリエイターがNFTを活用すると何がいいのか

ここまでの話をクリエイター目線でまとめると、NFTの新しい使い方が広げてくれる可能性はこんな感じです。

  • ファンとの関係を「一回きりの購入」で終わらせず、継続的な結びつきに変えられる
    会員証型のNFTなら、持っている限りずっと特典が続く関係性を作れます。
  • 駆け出し時代の応援を、後から価値のある「証」に変えられる
    無名時代から支えてくれたファンに、時間が経ってから報いる仕組みを作れます。
  • サブスクでは得られなかった「所有」の実感を、ファンに返せる
    「聴く権利」だけでは満たせなかった所有欲を、限定性のあるデジタル資産という形で満たせます。
  • ストリーミングにはない、一点物・限定物を作れる
    即興演奏や、デモ段階のテイク、直筆詩の朗読など、量産できないものに価値をつけられます。

大事なのは、NFTを「儲けるための投機ツール」として使うのではなく、すでにいるファンとの関係を深める道具として捉えることだと思います。


クリエイターがNFTを利用するときの流れ

実際にやってみたい、と思ったら、スマホ一つで始められます。

  • 「作品」または「権利の中身」を決める
    写真、イラスト、録音した音楽、詩、あるいは「会員証」の形にするなら、その特典の内容も一緒に決めます。
  • 「お財布」を作る
    NFTを保管・受け取るためのウォレットアプリ(有名なのは「MetaMask」など)を用意します。
  • 「取引所」に出品する
    「OpenSea」などのサイトにウォレットを接続して、作品や会員証をアップロードします。
  • 転売の可否を決める
    単なる証明書として使うのか、それとも会員証自体に価値を持たせて転売可能にするのか、ここは目的に合わせて選びます。

ボタンをポチポチ押していくだけで、世界に一つだけのシリアルナンバーが刻まれた、あなただけのNFTが完成します。


クリエータならやってて損はないNFT

NFTはまだ未完成な技術です。データが消えるリスクも、ロイヤリティが必ず守られるわけではないという弱さも、正直に言えば残っています。

でも、今のPayPayだって、10年前は会社すら存在していませんでした。今は当たり前に使っているものも、始まりはいつも不完全なものです。NFTも、これから5年、10年という時間の中で、もっと使いやすいものに育っていく可能性は十分にあります。

そこまで気長に待つ必要はありません。多少の不便さはあっても、「権利」を手軽にファンへ手渡せる道具として、今から積極的に使っていく——そんな向き合い方が、これからのクリエイターには合っているんじゃないでしょうか。

ドッチーズはどうなの? って話ですが、

私なら、中原中也の詩に曲を付けた限定ライブの参加証や、ピナコテカやドッチーズの制作途中のデモ音源へのアクセス権、応援してくれた人だけが持てる会員証などに使ってみたいと思っています。

NFTは作品を売る道具ではなく、ファンとの関係を形にする道具として考えると、新しい可能性が見えてきます。

みなさんも、応援してくれる人たちとクリエータとしてより深いリレーションを構築したり、応援に対するより多くの返礼をお返ししたりしたい人は是非NFTを試してみてください。

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